- つい最近1型糖尿病と医師に診断されて不安…
- 身近な人が1型糖尿病になったが、どんな病気なのか知りたい
- そもそも1型糖尿病って何?種類があるの?
このような不安や疑問を持っている方に向けて、本記事は執筆しております。
私は2023年11月に1型糖尿病を発症し、1週間ほどの入院をしました。
そんな私のリアルな実体験と、糖尿病内科の医師の指導内容に基づき、1型糖尿病の原因やリスク、治療法などをわかりやすく解説していきます。
1型糖尿病に関してどんな人でも理解できるように説明しましたので、ぜひ最後までお読みください!
1型糖尿病とはどんな病気か

1型糖尿病とは、体からインスリンが出なくなってしまい、慢性的な高血糖状態になってしまう病気です。
こちらの章では、1型糖尿病について下記5つの点から説明していきます。
- 症状
- リスク
- 治療法
- 原因
- 種類
1. 1型糖尿病の症状
1型糖尿病を発症すると、下記のような症状が出始めます。
- 目まい
- 体力の低下(すぐに息切れするなど)
- トイレが近くなる
- 異常に喉がかわく
- 急激にやせる
私の場合は、通勤電車で吐き気をもよおすこともありました。
ただ、日によっては体調が良い日もあったので、ちょっと疲れているだけかな?と思い、すぐに病院には行かなかったのです。
しかし、ちょうど同時期に会社の健康診断があり、血糖値の値が異常に高いことが発覚しました。
最寄りのクリニックで改めて血液検査をしたところ、血糖値がなんと300台(健康な人の場合は100前後)
糖尿病内科のある病院への紹介状を書いてもらい、入院することが決まりました。
2. 1型糖尿病のリスク
1型糖尿病は、それ自体が体に悪影響を及ぼすわけではありません。
1型糖尿病になり血糖値のコントロールができず、高血糖の状態になってしまうのが問題なのです。
高血糖状態を放っておくと、合併症を引き起こすリスクがあります。それを避けるために行うのが糖尿病の治療です。
代表的な合併症は下記の3つです。
- 神経障害(神経の病気)
- 腎症(腎臓の病気)
- 網膜症(目の病気)
神経障害は足先に痺れや冷えの症状が出たり、手足の感覚が鈍くなったりします。
腎症は、体に不要なもの排泄する機能が低下し、症状が進行すると人口透析になる危険も。
人工透析になると週に2〜3回は通院が必要なため、社会的な制限も大きくなってしまいます。
網膜症は目の中の網膜が障害を受け、視力が低下し、最悪の場合失明してしまう恐ろしい病気です。
3. 1型糖尿病の治療法
前項で書いたような合併症を防ぐために行うのがインスリン治療というものです。
1型糖尿病になると、血糖値を下げるためのインスリンというホルモンが体からほとんど(もしくは全く)分泌されなくなってしまいます。
そのため、体の外からインスリンを入れて血糖値をコントロールする必要があるのです。聞いたことがある方もいるかもしれませんが、その方法がインスリン注射ですね。
基本的には食後に血糖値は上昇しますので、食事の度にインスリン注射を打つことになります。
1型糖尿病の多くの人は治療にインスリン注射を利用しますが、飲み薬が用いられることも。
他にも、日本では滅多にないそうですが、手術で膵臓を移植する治療法も存在するみたいです。
ここからは補足ですが、私が入院した際の治療についても少し触れておきますね。
1型糖尿病を発症してすぐは、糖毒性という血糖値がなかなか下がらない状態になっていました。
最高で血糖値が500台の時もあったぐらいです…^^;
糖毒性をおさえるためにインスリンの量を徐々に増やしたり、インスリンの種類を変えたりする治療を行いました。
健康な人と同程度の血糖値になってきたら退院という感じでしたね。
また、入院中は合併症がないかの検査も同時に行いました。
退院後は日常生活に戻り、インスリン注射を行いながら血糖値のコントロールを継続しています。
ちなみに、2型糖尿病の治療は飲み薬からスタートし、経過によってインスリン注射を利用していくという形が多いです。
ただ、症状は違えど、血糖値のコントロールが課題になるという点は共通しています。
4. 1型糖尿病になる原因
本来ウイルスから私たちを守ってくれるはずの自己抗体(免疫)が、膵臓の中のβ細胞(インスリンを分泌する細胞)を攻撃して破壊してしまうことで、1型糖尿病が発症すると言われています。
なぜ自己抗体(免疫)がβ細胞を攻撃してしまうのかは、現代の医学でもわかっていません。
私の実体験をお話すると、1型糖尿病の発症前は下記のような状態でした。
- コロナウイルスに感染
- 夜中の1時や2時に暴飲暴食
- 一晩で甘い清涼飲料水を1.5〜2ℓ摂取
上記のいずれかに1型糖尿病になるきっかけがあったのでは?と個人的には考えています。
しかし、繰り返しますが、発症原因は不明と言われているので、あくまで参考程度にしていただければと思います。
ちなみに2型糖尿病に関しては、肥満や生活習慣の乱れ、遺伝、過度のストレスなどが発症原因と言われています。
5. 1型糖尿病の種類は3つ
1型糖尿病の種類には下記の3つがあります。
- 急性発症1型糖尿病
- 緩徐(かんじょ)進行1型糖尿病
- 劇症1型糖尿病
順番に説明していきますね。
1.急性発症1型糖尿病
1型糖尿病を発症した方に最も多く見られるタイプです。
糖尿病の症状が出てから数ヶ月で、体からのインスリン分泌がほぼ(もしくは完全に)なくなります。
発症後はインスリン治療を始めることになりますが、一時的に自分の体のインスリン効果が改善する時期がある方もいて、それをハネムーン期と呼びます。
ハネムーン期は人によって期間が異なるらしく、私の主治医の話だと数ヶ月の人もいれば数十年の人もいるとのこと。
ハネムーン期が終わると、再びインスリン治療に戻ることになります。
血液検査で、前項で説明した自己抗体が見つかることも急性発症1型糖尿病の特徴です。
2.緩徐(かんじょ)進行1型糖尿病
その名の通り、半年〜数年をかけて少しずつインスリンの分泌が低下していくタイプです。
進行がゆっくりなので初めは2型糖尿病と診断される方も。自己抗体の有無で1型か2型かを判別できます。
はじめは内服薬のみで治療できる方もいますが、1型と判断された場合は、膵臓に負担の少ないインスリン治療が推奨されます。
3.劇症1型糖尿病
1週間前後でインスリン分泌がほぼ(もしくは完全に)なくなる急性発症のタイプです。
体が糖を吸収できずに起こる緊急合併症を防ぐため、発症後は速やかなインスリン治療が必要になります。
このタイプは、血液検査で自己抗体が見つからないことが多いです。
急激な発症のため、1〜2ヶ月の血糖の平均値を測るHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)という値が低めであるという特徴もあります。
1型糖尿病のよくある質問7つ

1型糖尿病のよくある質問を7つピックアップしてみました。
当事者の方、身近な人が1型糖尿病になってしまった方、どちらにも参考になる内容ですので、気になる項目だけでも確認してみてくださいね。
1. 1型糖尿病は治る?
残念ですが、現状、1型糖尿病は治らないと言われています。
しかし、血糖値のコントロールができていれば健康な人と同じ暮らしが可能なので、気を落としすぎないでくださいね。
2. インスリン注射に副作用はある?
インスリン注射には低血糖という副作用があります。
食事量(糖質量)に対してインスリンの量が多いと、血糖値が下がりすぎてしまい、低血糖状態になってしまうのです。(血糖値が80を切り始めたあたりから注意が必要)
低血糖には目まい、動悸、手の震えなどの症状があります。最悪の場合、気を失ってしまうケースもあるので、注意が必要です。
血糖値の高すぎはもちろんですが、低すぎる状態にも気をつけなくてはいけないのです。
3. どんな人が1型糖尿病になる?
小児に多い病気と言われており、発症ピークの思春期以降は発症率が低下するようです。
ただ、私(男性32歳)含め、成人も発症する可能性があります。
日本では男性に比べ女性に多いという特徴もあるみたいです。
4. 1型糖尿病の治療にかかる毎月の費用は?
毎月の医療費に関しては、5,000円〜35,000円ぐらいと幅があります。
インスリン治療の方法も種類があり、それによって金額が異なるのです。
多くの方が選択するペン型のインスリン注射の場合、費用はおおよそ10,000円〜15,000円ぐらいになると思います。
多めに費用を払える方は、自分にとって、より便利な治療法を選択できるかもしれませんので、主治医の先生に相談してみるのがおすすめです。
5. 1型糖尿病の治療に医療補助はある?
医療補助が出るかどうかは、人によるというのが結論です。
ただ、私もそうですが、医療補助が出ない人のほうが多いのではないでしょうか。
既に書いたように、インスリン治療で血糖値のコントロールができていれば、健康な人と同じ生活がおくれます。その場合、障害年金の対象にはなりにくいですし、1型糖尿病は指定難病にもなっていません。
しかし、1型糖尿病が原因で生活に支障が出ているのであれば、1度確認をしてみるのも良いと思います。
参考:日本年金機構
参考:厚生労働省
ただ、入院時の費用に関しては高額療養費制度が適用されますので、必ず利用しましょう。
私の場合、10日間の入院で、本来150,000円ほどの医療費が80,000円ぐらいになりました。
高額療養費制度を利用するには、限度額適用認定証というものの発行が必要になります。
発行には少し時間がかかるので、できれば入院前までに申請を済ませておくのがおすすめです。
私の場合、会社の健康保険組合に申請してから約1週間ほどで手元に届きました。
6. 血糖値のコントロールが上手くいかない…どうすれば良い?
まずは食事(糖質)の量とインスリンの量が合っているのかを確認しましょう。
確認して問題ないなら、お次はご自身の体で色々実験を繰り返してみてください。
入院時は食事の時間や量が管理されているので、血糖値のコントロールも比較的しやすいでしょう。
しかし、退院して日常に戻ると、食事をはじめ毎日の生活リズムを一定にすることは現実的に難しいです。
生活リズムが安定しないと、当然血糖値のコントロールにも影響が出ますよね。
そのため、自分自身で色々と試行錯誤することが大切です。
例えば、
「食事の内容によって血糖値の上昇の仕方も変わるんだな」
「食べる順番を変えると、血糖値にどんな影響が出るかな?」
「最近は低血糖が多いな。インスリンの量を減らしてみようかな?
それとも注射を打つタイミングを変えてみようかな?」
「仕事中は血糖値が比較的高いな。ストレスでも血糖値が上がると聞いたけど、知らず知らずにストレスを感じているのかな?」
など、血糖値コントロールが上手くいかない原因を自分なりに考えてみましょう。
もちろん、考えた結果、それまでと違う行動をとりたければ、主治医の先生に確認を取るのが大前提ですけどね。
1型糖尿病は、自分でベストな血糖値コントロールの方法を探すのも大切な病気です。
7. 1型糖尿病は食事制限が必要?
1型糖尿病は、症状が落ち着いていれば食事制限はありません。しかし、食事管理は必要になるでしょう。
既にご説明した通り、1型糖尿病の人の課題は血糖値のコントロールです。
血糖を適正な値に保とうとすると、必然的に暴飲暴食や深夜の食事などは難しくなります。
できる限り、毎日決まった時間に決まった量の食事をとるほうが血糖値の値は安定しやすいです。
しかし、繰り返しになりますが、症状が落ち着いており血糖の値が良好であれば、1型糖尿病に食事の制限はありません。
極端な話、暴飲暴食や深夜に食事をとっても、血糖値がコントロールできていれば良いわけです。
実際はなかなか難しいと思いますが…^^;
私のように、好きなものを好きなだけ好きな時間に食べていた人は窮屈に感じるかもしれませんが、ストレスの無い範囲で、自分にベストな食事管理を模索してみてください。
家族や友人が1型糖尿病になった時の接し方

自分の身の周りの人が1型糖尿病になってしまった場合、どのように接すれば良いのだろう?と迷う方もいるかもしれません。
実際に1型糖尿病になった私が思ったことは下記の3点ですので、参考にしてみてください。
そっと見守る
1型糖尿病を発症してすぐの方が、病気になったことを受け入れられていない時にとってほしい行動です。
1型糖尿病に限った話ではないかもしれませんが、病気になると「なんで私がこんな目に…」とショックを受ける方が多いでしょう。
病気を受け入れられるようになるまでは、どんな言葉も本人は気休めと感じてしまうかもしれません。
しかし、ずっと1人で放っておいても、悪い方向に考えてしまいがちです。
そんな時はそばにいて、そっと見守ってあげてください。
特別扱いしない
こちらも1型糖尿病に限った話ではありませんが、過度に病人扱いをするのは避けましょう。
繰り返しになりますが、1型糖尿病はインスリンで血糖値のコントロールができていれば、健康な人と生活はなんら変わりません。
気遣いはありがたいですが、過度になると、「私は病人なんだ」「普通の人と違うんだ」と思わせてしまう可能性があります。
今まで通り普通に接してもらえればと思います。
1型糖尿病を正しく理解する
ネットなどで調べても、この声が一番多いかもしれません。
一般の人は、糖尿病に1型と2型の区別があるのを知らないことがほとんどです。
そのため、糖尿病に対して”肥満気味の人がかかる病気” ”生活習慣がだらしない”などのイメージを持っている人も多いと思います。実際に私もそうでしたしね…
しかし、説明した通り、1型糖尿病の発症原因は不明で、生活習慣とは無関係とも言われています。
体型や、生活習慣が原因で発症したんじゃないの?と誤解されるのが一番悲しいんですよね。
1型糖尿病は、誰でもかかる可能性のある病気と理解して接してもらいたいです。